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初めまして。
IoT集塵機メーカーのエムジオット株式会社です。
こちらの‘お役立ちコンテンツ’では、エムジオットに関する情報だけでなく、生産工場でのホコリ対策についての有益な情報を余すことなく配信していく予定ですので、定期的にチェックして頂けると嬉しいです!
今回の記事は「性能曲線表の解説 ~ベストな集塵機を選定するために~」について解説していきたいと思います。
これまで、集塵機の選定時に必要な計算方法などについて説明してきましたが、
定期的に更新されている別の記事も複数読んで頂けますと幸いです。
また、このブログは、集塵の知識を持たずとも理解できる「わかりやすさ」に最も重きを置いておりますが、いくつか専門用語がどうしても出現してしまいますので、もしわかりづらい場合や、前回の内容をご理解いただいていない場合は、こちらの記事を先にお読みいただくことをおすすめします。
また、記事に関して気になることがあれば、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡下さい。
性能曲線表とは
集塵機の紹介ページや、カタログなどに必ず載っている性能曲線表ですが、まずはこの表の存在意義についてお話していきます。
使用する環境次第で能力が変わる
恐らく、集塵機を選定する際、何かしらのホコリ対策における問題を抱えており、「自社の設備」においてどれくらいの能力が出せるのかという基準で選定していくと思います。
ここでの「自社の設備」というのは、ユーザー様によって用途や寸法なども異なりますし、全ての環境において同じ能力が出すことはできません。
例えば、最大静圧2㎪、最大風量5㎥/minの集塵機があったとします。これを、作業台の真横に置いて使うならある程度集塵できると思いますが、もしそんな小さな集塵機を工場の外に設置して、100mのホースを設置して使用した場合、全く吸わないという現象が起こります。
このように、どのような環境、用途、寸法で使うかによって必要な集塵機の能力が変わりますので、自社の環境にこの集塵機を使うと、これくらいの能力が出るんだなという、ざっくりしたイメージを持つために性能曲線表というグラフが誕生したわけであります。
性能曲線表から判断できる内容
この性能曲線表からわかる事は、主に4つあります。
・最大静圧
・最大風量
・圧力損失レベル
・使用点
最大静圧、最大風量においては、明確な数値が書かれているので、今回は下二つの説明をしていきます。
●圧力損失レベル
メーカーが提示する数値はあくまで「ホース未接続状態での最大値」なので、実際にホース、フードを接続した状態で出せる能力というのは全く異なります。
性能曲線表には、環境による能力の落ち具合が可視化されているので、環境ごとにギャップがどれくらいあるのかを想定することができます。
●使用点
一言で言うと「実際の使用環境において出している能力値」が使用点であり、フード設計時に計算した必要な風量を指しています。
※ちなみに、フードの計算方法については、こちらで詳しく解説していますので、良ければご覧ください
実際に性能曲線表を見てみる
このように文字で説明しても分かりづらいと思いますので、実際に弊社の製品を使って一緒に見てみましょう。
高圧型集塵機 H05シリーズ
これは高圧型と言われる吸引圧力が強いタイプで、バッテリー工場などに適した機種なのですが、静圧が最大14㎪、風量は最大5㎥/minになっています。
この時点で「近くにある物を吸い上げるのは得意だけど、大量の風を吸い込む換気のような集塵には不向き」という事が分かります。
まず、実際にはホースとフードを接続するので、ここで圧力損失が発生します。(今回は簡単にご理解いただきたいので詳しい計算式などは割愛します)
この圧力損失によって、1分間に吸い込める風の量、つまり風量が減少します。
ホースの長さが極端に長かったり、過剰に折れ曲がっていると、その分だけ圧力損失は増えるのでご注意ください。
(くねくねの道路だと車が早く走れないし、距離が長いと目的地にたどり着くまで時間がかかるのと同じ)
更に、そのホースを通過するのには馬力が必要になります。
集塵機で言えば吸引圧力、つまり静圧を指しますので、ここで使った力の分だけ静圧も減少します。
次に、風量と、静圧が減った分の数値に焦点を当ててみます。
平均的な数値で言うと、高圧型集塵機の風量は、だいたい1割くらい現象くらい減少し、
静圧に関しては、ホースの長さが1mと仮定した場合、だいたい3~10%程度減少する傾向があります。
後に説明しますが、静圧が高い機種は、多少ホースが伸びたりしても影響を受けにくいので、風量はあまり減らないのが特徴です。
つまり、高圧型集塵機であれば、圧力損失に関してそこまで気にしなくても良いと言えます。
風量型集塵機 F03シリーズ
せっかくなので、違う機種についても見ておきましょう。
これは風量型と言われる換気能力に特化したタイプで、食品や電子部品工場などに適した超小型の機種なのですが、静圧が最大2,4㎪、風量は最大3㎥/minになっています。
このように、静圧があまり高くない機種(具体的に2~3㎪程度)においては、
ホースの長さやフードの形状などによっては、能力が全く出せない、あるいは思っていたのと全然違う、なんてことが頻繁に起こりますので注意が必要です。
特に気を付けたいのが、ホースの長さと、曲がり具合です。これに応じて圧力損失の大きさは顕著に変化しますので、理想は1m、長くても2~3m程度に抑えてください。
これもざっくりお話すると、風量型集塵機の風量は、だいたい30~50%くらい現象くらい減少し、
静圧に関しては、だいたい10~25%程度減少する傾向があります。
圧力損失を減らす方法
高圧型集塵機においては、もともと静圧が高いので、圧力損失の影響を受けづらいですが、
風量型集塵機は、風量はだいたい30~50%くらい現象くらい減少し、静圧に関しては、だいたい10~25%程度減少する傾向があると説明しましたが、これって結構大きいですよね。
なので可能な限り圧力損失を減らす方法を検討してから集塵機を選定するのが望ましいでしょう。
具体的に言うと、天井にある大型ダクトからホースを引っ張ったりすると、どうしても通過距離が長すぎて、静圧は皆無、風量はそよ風、なんてことも起こり得ますので、
一番はホースの距離を意識してください。
1m以内であれば、ほとんど圧力損失を受けずに集塵する事が出来ますので、お知りおきください。
局所集塵が良い理由
ホースの距離は可能な限り短い方が良いですが、とはいえ1mの距離に集塵機を置くというのは難しいとお考えになる方もいらっしゃると思います。
それは、一昔前の大きな集塵機をダクト分岐させて使う場合の話で、小型の集塵機を選定すれば問題ありません。
小型とはいっても、沢山機種があって選定が難しいので、そのような場合は、是非弊社のような専門メーカーにお問い合わせ下さい。
エムジオット株式会社は、ただ集塵機を紹介するだけでなく、フード設計の知見も十分に持っておりますので、どこよりも建設的なご提案ができる自信を持っています。
また、集塵機の選定におかれましても、雑なアドバイスかもしれませんが、機能性についてもメーカーごとに違いがありますので、とりあえず最新のものを探すようにしてください。
というのも、逆にご注意頂きたいのが、「何年も前に発売された商品なのに、あたかも最新のような書き方をしている集塵機が沢山存在する」という事です。
そういったトリックに騙されないためにも、どのような機能が最新なのかは知っておくべきだと思います。
2024年時点では、エムジオットというIoT集塵機が最新の集塵機で、おそらく今後しばらくはエムジオットを超える機能性を持つ集塵機は出てこないんじゃないかなと、個人的には思っています。
何が凄いかと言いますと、まず、フィルターが詰まった時や、何か機械に異常が起こった時、スマートフォンやPC、タブレットにバナー通知を送ってくれます。
何かあった時だけ教えてくれるので、集塵機やその制御盤を監視していなくても、複数人に、いつから何の異常が、どの機械で発生しているのかを一目で分かるように伝えられます。
しかも、それぞれの集塵機の登録名を自由に決めることができるので、「Aチーム担当 第8ライン2号機」などと登録しておけば、誰が対応しないといけないのかまで分かるようになりました。
また、エムジオットはPLCの設定をしなくてもリモート操作ができます。
生産ラインの中に組み込む時、通常であれば集塵機の外部出力コネクタから、自社の操作盤に集塵機の項目を読み込ませる必要があります。
これが地味に厄介で、新規の設備に組み込むならまだ良いんですけど、既存の設備に後付けで集塵機を組み込む場合とかは、結構大変なんですよね(泣)
もちろん、既存の制御盤に組み込みたい場合や新設設備の場合は、従来通りPLC制御にて遠隔運転を行う事も可能ですが、専門知識がなくても同じ利便性でご利用頂けます。
そして、既存の設備に重大な異常が発生した場合に、エムジオットを経由して関係者に通知を送ることもできるので、既に置いてある設備も併せてIoT化できるのも素晴らしい魅力だと思います。
CPUを搭載しているので、購入後もアップデートによって常に最新機能をご利用いただけて、しかも面倒なサブスクリプションではないため導入のハードルが全然高くありません。
さいごに
以上が「性能曲線表の解説 ~ベストな集塵機を選定するために~」でした。いかがでしょうか。
かなり奥が深く、自社の知見だけで全て行うのは難しいですし、集塵機メーカーもそこまでの知見を持っていない場合が多いので、
何となくで選定されてしまうのも仕方がないと思います。
だからこそ、この記事をご覧の方には、より効率良く、ミスなく集塵機の選定を行い、現場の生産クオリティを少しでも上げるお手伝いができれば幸いです。
もし、圧力損失の計算方法についても、需要がありそうでしたら記事にしたいと思いますので、知りたいという方は、お近くの担当者に遠慮なくお声がけください。
このように、知られていないだけで実はとてつもない機能性を持った機種も存在しますので、一旦専門のメーカーに問い合わせることをオススメします。
ありがとうございました。