世界初の工業用IoT集塵機 エムジオット

パターン別 集塵機選定の計算方法①

はじめに

初めまして。
IoT集塵機メーカーのエムジオット株式会社です。

こちらの‘お役立ちコンテンツ’では、エムジオットに関する情報だけでなく、生産工場でのホコリ対策についての有益な情報を余すことなく配信していく予定ですので、定期的にチェックして頂けると嬉しいです!

今回の記事では、「パターン別 集塵機選定の計算方法①」について解説していきたいと思います。
弊社のお客様にお聞きしたのですが、集塵機メーカーなどに集塵機の選定をお願いした時、
ざっと設備の概要を見ただけで、これくらいの集塵機はどうでしょうか。という様にオススメされることが良くあるらしいです。

新設の設備においては、先に集塵機を選定してから集塵フードの設計に移行するように誘導される場合があります。
少し失礼な言い方ですが、これは、部屋の大きさが分からないのに、先にエアコンを購入したのと同じようなもので、フードの寸法次第で、適切な風量をフード付近で発揮できないことがあります。
また、フードや集塵装置側の仕様によって選ぶべき機種も異なるので、
風量型集塵機を購入したけど実際は高圧型集塵機じゃないとダメだった。といったことも起こり得ます。
なので、集塵機の選定が必要な方は、今回お話する考え方や計算方法について、お知りおきいただいて絶対に損のない内容だと思います。

また、先に申し上げておくと、このテーマは非常に奥が深く、ユーザー様の設備の状況に応じて計算方法などを変えていかなければならないので、1つの記事で全部を解説することは到底できません。なのでいくつかパターン別に分けて紹介していこうと思いますので、関連記事もあわせて、沢山の記事を読んでいただけますと幸いです。

ちなみにこのブログは、集塵の知識を持たずとも理解できる「わかりやすさ」に最も重きを置いておりますが、いくつか専門用語がどうしても出現してしまいますので、もしわかりづらいなと思われましたら、こちらの記事を先にお読みいただくことをおすすめします。

また、記事に関して気になることがあれば、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡下さい。

 

パターンに応じて算出方法が変わる理由

この計算式に当てはめれば設計できます!といった魔法の方程式があればいいのですが、残念ながら集塵機の選定やフードの設計は結構複雑で、そのようなシンプルな手法は取れません。この時点で言えるのが、集塵機を選定したいと相談しただけで、こんな機種どうですか?と言ってくる営業は、フードのことを全く考えていないので、残念ながらちゃんと計算していないということにもなります。その理由についてまず解説したいと思います。

● 換気と吸引の考え方がある

集塵には、簡単に言うと「製品に付着した異物を除去する」という目的と、「粉塵を作業者が吸い込まないようにする」目的の2種類あります。

粉塵を作業者が吸い込まないために集塵機を設置するという事は、基本的に「粉塵は宙に浮いている」ということになります。
つまり、粉塵の重さはあまり考えなくていいという事です。

反対に、製品に付着した異物を除去する場合は、その粉塵の材質、分子量、外的要因(静電気量など)、これらの発生原因を具体的に分析する必要があります。

言い方を変えると、
作業者を粉塵から守る場合は、空間の空気を入れ替えるだけでOKなので簡単ですが、製品に付着した粉塵を除去するなら、「まずその粉塵を何らかの手法で製品から引き剥がす」という作業が必要になるため、より複雑になる。と言えます。

更に言い方を変えると、
粉塵を作業者が吸い込まないようにするだけなら、シンプルなので安価に実現できるが、製品から異物を除去するのは、複雑だから高額になる。とも言えます。

だからこそ全くの知見をお持ちでない場合、集塵設備の構築自体を一から外注しないといけなくなるので、どうしても高額の案件となってしまいます。

換気の原理を利用したフードにおいて集塵機を選定方法

申し上げた通り、換気の原理を応用する場合はフードの計算方法が簡単になるので、まずはライトなお話をしていきましょう。

●換気スピードの考え方

換気とは、その空間の空気を入れ替えるということになりますので、どのくらいの秒数で空間の空気が一周しますか?という秒数を考えていきます。

例えば、5m×5m×3mの立方体があったとします。

この立方体の体積は75㎥なりますので、もしこの立方体のどこかにホースを繋いで、風量が15㎥/minの集塵機を起動したとします。
集塵機の風量というのは、1分間で吸い込める空気量を意味しているので、
75(㎥)÷15(㎥/min)=5ということで、5分に1回空気が入れ替わるという事になります。
この空間に煙が充満していると仮定したら、5分後には綺麗になりますよということなので、「集塵」という観点で見ると、遅すぎるという結論になります。

50㎥/minの風量が出せる集塵機を繋ぐと、
75(㎥)÷50(㎥/min)=1.5ということで、1分30秒で空気が入れ替わることになります。90秒ごとに空気が入れ替わるなら、まあまあかな?という感じです。

●ボックスが大きくなると不都合が出る

先程の説明で、50㎥/minの集塵機使えば1分30秒で空気が入れ替わると説明しましたが、この50㎥/minというのは結構大きな集塵機で、100万円以上の価格帯になることが多いです。
例えで出した立方体の面積が大きいというのもありますが、こういった場合、「粉塵が溜まるエリアが出てくる」という現象が起こります。

加えて、このイラストのように、箱が大きくなればなるほど底面や四隅に粉塵が溜まったりすることがよくありますので、フードが大きい場合は特に注意が必要です。
繰り返しますが、ただボックスにホースを接続するだけなら、換気の原理を利用しているだけなので、粉塵の重さを考慮しておらず、こういった現象が起こります。

●基本的な計算方法

換気の原理を利用してというようなことを先程から何度も申し上げていますが、基本的な計算方法についても説明しておきたいと思います。

結論から言うと、以下の計算になります。

ただこれだけでは解説として不十分なので、以下に詳しく説明します。

まず、集塵機を選定する時に最も重視するのは、「開口面積」です。例えば、以下のようなトンネルの形を作ったノズルを取り付けたいとします。

この時、コンベアやワークが通過できるように、入口と出口に開口が存在することが分かります。
この開口面積を計算して、必要な風量を算出していく事になります。
ちなみに、開口面積は初期の段階から必ずメートル換算しておくことをオススメします。

このイラストの場合の開口面積は、[0.3m×0.1m] × 2(入口と出口なので)=0.06㎡となりますよね。

次に、この開口面積を通過して吸い込む空気の量を考えます。
つまり、開口部付近の風速がいくら欲しいですか?という観点から希望の数値を仮定し、それを実現するには、集塵機に繋がるホースの内部の風速はこれくらい必要。という値を算出することになります。
ここでよくあるのが、集塵機のホース内部の風速を参考に計算するというやり方です。それも別に悪いとは思いませんが、ホースの風速に着目しすぎると、ホース付近は風速が確保できていても、実際の開口付近では全く空気が流れていない、といった現象が起こる可能性がありますのでご注意ください。

弊社のオススメは、ひとまず風速1m/sで考えてみることです。
一緒に計算してみましょう。

1)総開口面積を計算
0.3(m)×0.1(m)×2(面)=0.06㎡

2)開口部の風量を計算
1m/s×0.06㎡=0.06㎥/s

3)接続するホースの太さを考える
今回はΦ75㎜と仮定しましょう
[π×0.075m×0.075m]/4≒0.0044

4)集塵機ホース内部の風速を算出する
0.06(㎥/s)÷0.0044(㎡)≒13.64m/s
→フード付近で必要な風速になります!

5)必要な集塵機の能力を計算
60×0.06㎡×13.64m/s=49㎥/min

これで、フード付近であって欲しい風速から、その場合の必要な風量について計算してみました。
お気付きかもしれませんが、風速が13m/sで、風量が49㎥/minの集塵機となると、結構大きい集塵機になってしまいます。
なので、ここから、「フード付近で本当に風速1mが必要なのか?」という事を考えます。

具体的に言うと、ボックスの内部でエアブロー除塵などを行う場合は、吹き漏れリスクがあるのであった方が良いけれど、
単に煙を集塵するだけなら、そんなに必要ない。という様に、用途に応じて本当に必要な風速を考えます。
もし、そんなに必要ないなら、上記の数字を半分にすれば、風速が6.5m/sで、風量が24㎥/minくらいの集塵機で十分になりますし、
風速がやっぱり必要なら、開口面積を10%小さくすれば、必要風速、風量も-10%減らすことが出来ます。

換気の原理を利用したフードにおいての盲点

あくまで「空間の空気を入れ替える」という事に着目する場合は、今回お話した計算方法で選定頂くと、そこまで大きなトラブルにはならないと思いますが、
1つ重要な盲点についてご説明致します。

●大切な忘れもの

先程の計算式にはある重要な数字が入っていません。何かわかりますでしょうか。
そうです、吸引圧力の強さを測る静圧に関する考慮が全くされていません。
理由は至ってシンプルですが、飛散するような空気より軽い粉塵を取り扱うから気にしなくても良かったのです。
なのでホースの取り付け穴は、自重で落ちてくる粉塵だと底面に付けたり、舞い上がる粉塵だと天面に付けたり、「勝手に吸い込んでくれる」という前提でした。

もしも既に製品に付着している粉塵を吸引したいとなれば、当然その粉塵を吸い上げられるだけの、高い静圧が求められます。
この静圧を考慮する場合は「掃除機の原理を利用したフードの計算方法」となり、かなり話が変わります。
計算方法も細かい事例別で異なりますし、計算も複雑になり、より高価な集塵機が必要となってしまいます。

だからこそ多くの場合では、エアーナイフなどを使って、無理矢理にでも粉塵を吹き飛ばして浮遊させたり、底面に落としたりする手法を取るのが得策となってきますし、
現に世の中の集塵システムでは、この手法を取っている事例が多いです。
もしこれからフードや集塵装置の設計が必要な場合は、できる限りこの「換気の原理を利用したフードの計算方法」が当てはまる形でご検討頂く事をオススメします。

●なぜ掃除機の原理だと異物除去は難しいのか

集塵機とは何かを説明する時、よく「工場で使う大きな掃除機」と例えることがありますので、確かに掃除機の原理を応用する考え方の方がしっくりくるかもしれません。
ですが、掃除機とは明確な違いがあり、特定の条件を満たしているからこそ、あれだけ安価で世に広まっています。

ざっくり言うと、そもそも床を対象としているので、大きな凹凸はありませんし、床だから限りなくヘッドを近づけています。
しかもゴシゴシ擦るものなので、家庭用としては便利ですが その考えを生産現場で応用する事はできません。
しかも手動であることが前提なので、省人化を進める設備などではもってのほかです。

ここに関する説明、事例の紹介は、複数回に分けて更新したいと思いますので、定期的に弊社のサイトをチェックしてください。

もしお急ぎで知りたい事があれば、遠慮なく弊社のお問い合わせください。

さいごに

以上が「パターン別 集塵機選定の計算方法①」でした。いかがでしょうか。
かなり奥が深く、自社の知見だけで全て行うのは難しいですし、集塵機メーカーもそこまでの知見を持っていない場合が多いので、
何となくで選定されてしまうのも仕方がないと思います。
だからこそ、この記事をご覧の方には、より効率良く、ミスなく集塵機の選定を行い、現場の生産クオリティを少しでも上げるお手伝いができれば幸いです。

雑なアドバイスかもしれませんが、機能性についてもメーカーごとに違いがありますので、とりあえず最新のものを探すようにしてください。
というのも、逆にご注意頂きたいのが、「何年も前に発売された商品なのに、あたかも最新のような書き方をしている集塵機が沢山存在する」という事です。
そういったトリックに騙されないためにも、どのような機能が最新なのかは知っておくべきだと思います。

2024年時点では、エムジオットというIoT集塵機が最新の集塵機で、おそらく今後しばらくはエムジオットを超える機能性を持つ集塵機は出てこないんじゃないかなと、個人的には思っています。

何が凄いかと言いますと、まず、フィルターが詰まった時や、何か機械に異常が起こった時、スマートフォンやPC、タブレットにバナー通知を送ってくれます。

何かあった時だけ教えてくれるので、集塵機やその制御盤を監視していなくても、複数人に、いつから何の異常が、どの機械で発生しているのかを一目で分かるように伝えられます。

しかも、それぞれの集塵機の登録名を自由に決めることができるので、「Aチーム担当 第8ライン2号機」などと登録しておけば、誰が対応しないといけないのかまで分かるようになりました。

集塵機emsiot(エムジオット)のリモート機能

次に、エムジオットは、PLCの設定をしなくてもリモート操作ができます。

生産ラインの中に組み込む時、通常であれば集塵機の外部出力コネクタから、自社の操作盤に集塵機の項目を読み込ませる必要があります。

集塵機の設置

これが地味に厄介で、新規の設備に組み込むならまだ良いんですけど、既存の設備に後付けで集塵機を組み込む場合とかは、結構大変なんですよね(泣)

でもエムジオットは有線と無線の両方でリモート操作ができるので、試験的に設置している段階ではスマートフォンやPCから操作をして、本番環境に移行する時には、専用のリモートコントローラーを制御盤付近に追加で設置してあげれば、PLCの設定を一切行わなくてもリモート操作を行うことができます。

もちろん、既存の制御盤に組み込みたい場合や新設設備の場合は、従来通りPLC制御にて遠隔運転を行う事も可能ですが、専門知識がなくても同じ利便性でご利用頂けます。

そして、CPUを搭載しているので、購入後もアップデートによって常に最新機能をご利用いただけるのも、エムジオットにしかない魅力です。

このような便利な機能なのに、面倒なサブスクリプションではないため導入のハードルが全然高くありません。

集塵機・emsiot(エムジオット)

このように、知られていないだけで実はとてつもない機能性を持った機種も存在しますので、一旦専門のメーカーに問い合わせることをオススメします。

エムジオットに関するお問い合わせはこちら

ありがとうございました。

 

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