世界初の工業用IoT集塵機 エムジオット

パターン別 集塵機選定の計算方法②

はじめに

初めまして。
IoT集塵機メーカーのエムジオット株式会社です。

こちらの‘お役立ちコンテンツ’では、エムジオットに関する情報だけでなく、生産工場でのホコリ対策についての有益な情報を余すことなく配信していく予定ですので、定期的にチェックして頂けると嬉しいです!

今回の記事は、前回に続き「パターン別 集塵機選定の計算方法②」について解説していきたいと思います。
前回の内容を軽く整理すると、

・集塵には「換気」と「集塵」の考え方がある
・「換気」の考え方は比較的簡単
・「換気」を利用した必要能力の算出方法

この3つの項目に分けてご説明をさせて頂きました。

なので今回は、「吸引」の考え方に基づいた計算方法についてのお話になります。
先にお伝えしておくと、この「吸引」に関する考え方は非常に奥が深く難しく、1回だけでご理解頂くのは難しいかもしれませんので、
定期的に更新されている別の記事も複数読んで頂けますと幸いです。

また、このブログは、集塵の知識を持たずとも理解できる「わかりやすさ」に最も重きを置いておりますが、いくつか専門用語がどうしても出現してしまいますので、もしわかりづらい場合や、前回の内容をご理解いただいていない場合は、こちらの記事を先にお読みいただくことをおすすめします。

また、記事に関して気になることがあれば、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡下さい。

「吸引」の考え方が難しい理由

先日から、「換気」の考え方に基づくと集塵は簡単だとお伝えしている理由ですが、凄くシンプルに言えば、「物を吸い上げる力」を考えなくても成立するからです。
換気の場合は、空気中に浮遊している粉塵を換気ついでに吸引する、つまり付着した異物ではなく軽いという前提があります。
しかし、吸引の考え方は、製品に付着しているような異物を「引き離して吸引する」という手法となるので、考えなければならないことが増えます。

吸引の代表例は掃除機

吸引する原理に関して最も説明がしやすい例えは掃除機ですので、比較しながら説明をします。
掃除機は「下から上に吸い上げる原理」となっており、500円玉を吸引できます!といったキャッチフレーズもありました。
このように考えると、掃除機ですら500円玉を吸えるんだから、それの何倍も吸引力が強い集塵機であれば、
こんな感じのフードを製作しても吸引できるのでは?と思うのも納得です。

ですが、結論を申し上げると、このようなフードでは解決できるは、ヒュームのような空気中に浮遊する煙くらいで、乾式粉塵には何の効果も得られないでしょう。
その理由について、以下に説明します。

隙間が開いている

掃除機のヘッドを見てみると、床との接着部分においてはブラシで囲われていて、地面と密着している構造になっています。

前回説明しましたが、集塵風量の計算は、基本的には開口面積をベースに算出するので、
掃除機のように床に密着させるのであれば、開口面積はブラシの毛と毛の隙間程度なので、限りなくゼロに等しく、少ない風量、吸引力(以下静圧と呼ぶ)で掃除することができます。

一方、生産ラインで設置されるフードはどうでしょう。

この場合だと、地面からかなりの距離、隙間が空いているので、開口面積が大きくなり、結果的に巨大な集塵機が必要になります。

静圧の重要性

掃除機は床に落ちているものを吸い上げるため、「静圧」が強いという印象をお持ちになると思います。これは、ホースに手を当てると引っ張られる力の事で、確かに十分な吸引力を持っています。

ただ、これは厳密に言うと、手を当てるという事は密着させているので、上記のように、開口面積はありません。その状態だから強く感るだけで、同じことを集塵機でやると当然集塵機の方が強い静圧を感じることになります。まあ、サイズが大きいので当然と言えば当然ですが、、、

という事は、どれくらい静圧が強いですか?(㎪)という数値を追求するのではなく、「どれくらい開口面積を小さくできるか」について考える方が得策だと言えます。
先程示したフードの場合、ベルトコンベアの上に製品が乗っており、その上にフードが置かれています。

製品には凹凸があるので、近づけすぎるとフードに接触してしまいますし、吸引力によって製品ごと吸い上げられてしまう場合には、その吸い上げ対策も行う必要があります。

私はこれくらいの説明で十分だと思っています。つまり、

面倒ですよね(笑)

だから換気の原理に基づいたフード製作がオススメと申し上げておりました。

それでも吸引に基づいた計算がしたい場合

既にある設備に新たな集塵フードの設置が必要、でも寸法に制限があり製品の上部にフードを持ってくるしか方法がない。といった事例も実際にはありますので、
その場合の算出方法についても説明いたします。この時点でご理解いただきたいのは、完璧な異物除去は無理(今より多少マシになる程度が限界)ということです。
これに関しては、実際に計算してみないと納得してもらえないと思いますので、試しにやってみます。

結論から言うと、以下の計算になります。
そして、この計算の考え方は、「フードとの距離が1㎜で吸引している時と同じ効果を、30㎜に離しても再現する方法」になります。

もちろんこれでは解説として不十分なので、以下に詳しく説明しますが、複雑なのでご注意ください。

前提条件

まず初めに、前提条件を定義します。

対象ワーク:電子部品(10㎜×20㎜×20㎜)
ワーク重量:30g
フード寸法:100㎜×50㎜
条件:ベルトコンベア上に流れる電子部品

計算方法

この段階から全ての条件を加味するとややこしくなるので、以下の計算には、「ホースの長さ、曲がり方によって発生する圧力損失」は考えないものとします。
では、一緒に計算してみましょう。

1)総開口面積を計算
0.1(m)×0.05(m)=0.005㎡

2)開口部の風量を計算
10m/s×0.005㎡×60=3㎥/min
※これが、一般的に必要な風量なのですが、「フードとの距離がほぼゼロ」の状態なので、この数字を基準値として、実際に離れている距離に応じた算出が必要になります。
また、下から上に吸い上げる事になるので、それなりの静圧が必要になります。
試しに1㎪と仮定して進めてみましょう。

→つまり「1㎏以下の重さの物は吸い上がる」という事です。
しかしこれはコンベアとの隙間が無い状態なので、今回のような製品は通過できません。なのでフードとコンベアの距離を30㎜離しても、上記と同じ条件を出す計算が以下になります。

3)コンベアから30㎜離した場合の風量を計算する

距離が1mmから30mmに離れると、空気の拡散により、吸引力が低下します。これを補うためには風量と静圧を増やす必要があります。
距離が30倍(1mm→30mm)になることで、吸引範囲が広がり、必要な風量も増加します。
一般的に距離が増加すると、風量は概ね距離の平方に比例して増加します。つまり、30倍の距離に対してはおおよそ 30の平方(900倍) の風量が必要です。

30㎜離れた場合の必要風量=3㎥/min×(30㎜÷1㎜)2
→2700㎥/min

4)静圧を考える
静圧も距離が増すほど増加させる必要があります。吸引距離の増加により、フードの開口部で1㎪の静圧を保つにはさらに高い負圧が必要となります。
30㎜離した場合の必要静圧は、より詳細な計算が必要ですが、おおよそ 数倍の静圧(約3~5㎪)が求められる可能性が高いです。

→3㎪~5㎪の静圧が必要

距離を離すと必要な能力が膨れ上がる

すみません、3)辺りから急に手を抜いてしまいましたが、お分かりですよね。
つまり、無理なんです(笑)

たかだか100㎜×50㎜のフードで2700㎥/minの集塵機が必要なんて事は、普通ではあり得ませんし、ダクトの兼ね合いで無理です。
もしこれが換気型で計算すれば、2~3㎥/min程度で収まるので、どう考えても非効率です。仮にできたとしても、軽い電子部品などは一瞬で吸い込んでしまいますので、
そうならないような吸い上げ対策も別途必要になります。

だからこそ抑えておきたいのは、吸い上げる手法では、ワークとの距離が1㎜程度の、限りなく近づけられる状況や、ヒュームのような空気よりも軽いものであれば検討が可能。
それ以外の凹凸がある状態では、どうやっても完璧には集塵出来ないという事をご注意ください。

さいごに

以上が「パターン別 集塵機選定の計算方法②」でした。いかがでしょうか。
かなり奥が深く、自社の知見だけで全て行うのは難しいですし、集塵機メーカーもそこまでの知見を持っていない場合が多いので、
何となくで選定されてしまうのも仕方がないと思います。
だからこそ、この記事をご覧の方には、より効率良く、ミスなく集塵機の選定を行い、現場の生産クオリティを少しでも上げるお手伝いができれば幸いです。

そして、これから集塵設備を構築するなら、出来るだけ換気の原理を応用したフードの設計を心がけてください。
エムジオット株式会社は、そのようなフード設計の知見も十分に持っておりますので、どこよりも建設的なご提案ができる自信を持っています。

また、集塵機の選定におかれましても、雑なアドバイスかもしれませんが、機能性についてもメーカーごとに違いがありますので、とりあえず最新のものを探すようにしてください。
というのも、逆にご注意頂きたいのが、「何年も前に発売された商品なのに、あたかも最新のような書き方をしている集塵機が沢山存在する」という事です。
そういったトリックに騙されないためにも、どのような機能が最新なのかは知っておくべきだと思います。

2024年時点では、エムジオットというIoT集塵機が最新の集塵機で、おそらく今後しばらくはエムジオットを超える機能性を持つ集塵機は出てこないんじゃないかなと、個人的には思っています。

何が凄いかと言いますと、まず、フィルターが詰まった時や、何か機械に異常が起こった時、スマートフォンやPC、タブレットにバナー通知を送ってくれます。

何かあった時だけ教えてくれるので、集塵機やその制御盤を監視していなくても、複数人に、いつから何の異常が、どの機械で発生しているのかを一目で分かるように伝えられます。

しかも、それぞれの集塵機の登録名を自由に決めることができるので、「Aチーム担当 第8ライン2号機」などと登録しておけば、誰が対応しないといけないのかまで分かるようになりました。

集塵機emsiot(エムジオット)のリモート機能

また、エムジオットはPLCの設定をしなくてもリモート操作ができます。

生産ラインの中に組み込む時、通常であれば集塵機の外部出力コネクタから、自社の操作盤に集塵機の項目を読み込ませる必要があります。

集塵機の設置

これが地味に厄介で、新規の設備に組み込むならまだ良いんですけど、既存の設備に後付けで集塵機を組み込む場合とかは、結構大変なんですよね(泣)
もちろん、既存の制御盤に組み込みたい場合や新設設備の場合は、従来通りPLC制御にて遠隔運転を行う事も可能ですが、専門知識がなくても同じ利便性でご利用頂けます。

そして、既存の設備に重大な異常が発生した場合に、エムジオットを経由して関係者に通知を送ることもできるので、既に置いてある設備も併せてIoT化できるのも素晴らしい魅力だと思います。
CPUを搭載しているので、購入後もアップデートによって常に最新機能をご利用いただけて、しかも面倒なサブスクリプションではないため導入のハードルが全然高くありません。

集塵機・emsiot(エムジオット)

このように、知られていないだけで実はとてつもない機能性を持った機種も存在しますので、一旦専門のメーカーに問い合わせることをオススメします。

エムジオットに関するお問い合わせはこちら

ありがとうございました。

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