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こんにちは!
IoT集塵機メーカーのエムジオット株式会社です。
私たちは、生産設備に取り付ける小型のIoT集塵機を製造しているのですが、
具体的な異物除去方法に関するご提案をする際に、静電気が障壁となって、色々と頭を抱える事があります。
そもそも「静電気」という言葉を聞くと、皆様は何を思い浮かべますか?
一番身近な例として、ドアノブに触ったときに、バチっとくるという現象を私は思い浮かべました。
現象自体は当然知っていても、理屈については詳しく知らないという方が多いと思います。
工場などで勤務している方にとっては、静電気は非常に厄介な問題で、
互いに有識者である前提で話すことが多いので、最低限の原理、対策方法に関しては知っておいた方が望ましいでしょう。
そこで、本記事では、静電気に関する今更聞けない基礎知識と、
集塵という観点から、生産工場に置いて静電気はなぜ厄介な問題なのか、
その対策方法などについてお話をしていきます。
※基礎的なお話になりますので、予めご容赦ください。
ちなみにこのブログは、集塵の知識を持たずとも理解できる「わかりやすさ」に最も重きを置いておりますが、いくつか専門用語がどうしても出現してしまいますので、もしわかりづらいなと思われましたら、こちらの記事を先にお読みいただくことをおすすめします。
また、記事に関して気になることがあれば、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡下さい。
予め考えておきたいポイント
まず、静電気の正体についてですが、
異なる物質を擦り合わせた時に発生する、「マイナスの電子の移動」によって起こる現象です。
マイナスの電子は、主に物質同士が接触し、摩擦が生じた時などに別の場所に移動するという特徴があり、
行き先は「プラスの電気」が単体で存在している場所です。
ドアノブに手を触れた時などに「バチッ」と感じるのも、
プラス電気を持つ手がドアノブに触れた瞬間に、ドアノブに帯電していたマイナス電子が移動することで発生しています。
更に説明すると、この世に存在する全ての物質は電子を持っており、それと同じ数だけの電気を持っています。
プラスの事を電気、マイナスの事を電子と呼び、このプラスとマイナスは数が同じなので、
普段は良い感じに打ち消し合って、静電気が発生しません。
しかし、異なる物体を擦り合わせると、片方の物質からもう片方の物質へと電子(マイナス)が移動します。
この時に静電気が発生します。
例えば、紙の袋にプラスチックのストローが入っているとします。
ストローを紙の袋から取り出すときは、こんな感じのイメージです。
この瞬間に、もともと紙袋に付いていたマイナスの電子が、ストローに一気に移動します。
そうなると、ストローはマイナスの電子が多く、紙の袋はプラスの電気が多いことになります。
この状態を、静電気が発生していると言います。
ここでのポイントは、移動しているのはマイナスの電子のみであって、プラスの電気は移動していない。という事を覚えておいてください。
「静電気が発生する」という言葉を言い換えると、「帯電する」という言い方になりますので、
- ストローはマイナスに帯電した。
- 紙袋はプラスに帯電した。
と考えます。
では、何でストローはマイナスで、紙袋はプラスなんでしょうか。
逆に、ストローがプラスに帯電する可能性もありますよね?
答えは、物質によりけりです。
このように、プラスを好む物質と、マイナスを好む物質が存在するため、物同士の相性もかなり影響してきます。
そうなると、「マイナスを好む物質同士を擦り合わせるとどうなるのか?」という疑問が生まれますが、
その場合は、磁石みたいに、同じ物同士は反発し合い、違う物は引き合うという性質があります。
だから、髪の毛がごわっと広がるのは、1本1本の毛が同じ方に帯電していて、それぞれが反発し合うからです。
静電気でバチっとなるあの現象
冬のような乾燥した時期に起きやすい現象で、一度は経験したことがあると思います。
なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
先程お話した通り、静電気はマイナスの電子が移動した時に発生します。
もともと人間の身体はプラスの電気を受け取りやすい構造ですので、金属などに付いているマイナスの電子を受け取りやすくなります。
そのため、ドアノブに触れた瞬間に多くのマイナス電子を、プラスの電気を沢山持った身体が受け取ってしまい、バチっと衝撃が与えられます。
では、どうしてバチっとなる現象は冬場に発生しやすいのでしょうか。
理由は、湿度です。
空気中の水分量が少ない状態になると、電子の移動がされやすくなるという特徴があります。
つまり、夏は気温が高いので、体が汗をかいたり、身の回りにある水分が蒸発して自然と湿度が高くなるので、
乾燥しやすい冬場の方が静電気は発生しやすくなります。
ガソリンスタンドに置いてあるアレ
給油をする際、ガソリンスタンドには必ず静電気除去シートが置いていますよね?
実は、アレがないと爆発事故が増えてしまうので、非常に大切な役割を果たしています。
例えば、マイナスの電子が溜まったところに電球を近づけると、一瞬だけピカッと光るという現象が起こります。
このように沢山の電子が別の物体に乗り移って電気が流れる事を放電といい、ここで発生した電気は
ガソリンと非常に相性が悪く、ガソリンは簡単に燃えてしまいます。
(難しく言うと、ガソリンの引火点は-40℃以下ととても低いので、液体の状態では発火しないですが、
気体になりやすく、気体になった時に引火しやすいからです。)
だから、プラスチックに金属を混ぜて作られている静電気除去シートを触ることで、
帯電していた電気は給油機を介し、地面へと放電される仕組みです。
静電気がもたらす悪影響
このように、日常生活においての静電気について、
身近なところに危険が潜んでいるが、一応対策はされているというがわかりました。
では、工場の中における静電気はどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。
静電気がもたらす悪影響①発火・爆発
先程、ガソリンスタンドの静電気についてお話をしたように、静電気は発火性があり、蓄積すると火花が発生します。
蓄積した静電気は、一瞬ではありますが数千ボルト、 時には1万ボルト以上の電圧に達することがあり、可燃物が近くにあると非常に危険です。
特に気を付けないといけないのは、繊維、アルミ、食品、化学品などを取り扱う生産現場です。
衣服などの布製品を製造している会社の場合、基本的には編み機という機械で糸を編んで服を作ります。
その工程で、糸同士での摩擦が発生し、静電気が帯電します。
それが何かの拍子にバチッとなってしまうと、可燃性のある糸からじわじわと火がつき、
やがて大火事へとつながるという事例があります。
実際に工場自体が全焼してしまう事件もいくつかあり、徹底した対策が求められています。
その他にも、アルミの粉や小麦粉、コーンスターチ、粉体化学薬品などは、爆発性があると言われており、
静電気がきっかけで、粉塵爆発に繋がる危険性がありますので、
これらの製品を扱う場合は、静電気対策を講じる必要があります。
粉塵爆発については、別途記事を作成しようと思います。
静電気がもたらす悪影響②異物の付着
実は静電気はモノづくりの工程で、異物やホコリを製品にくっつけてしまうという非常に厄介な特徴があります。
例えば、冬場にセーターを脱いだ時、インナーウェアに糸くずやホコリが付着する経験をした事はありますでしょうか。
これは、セーターと肌着が擦れて静電気を大量に発生し、服の表面に付いたホコリなどをくっ付けて離さなくなります。
このように摩擦によって発生する静電気は、ホコリなどとの相性が非常によく、一度くっついたらなかなか離れてくれません。
話を戻すと、何か製品を作る時には必ずと言っていい程、「切る」もしくは「削る」という工程が必要になります。
その時に摩擦が発生し、電子の移動、つまり静電気を帯電させてしまいます。
その際に付着した異物を早い段階で取り除いておかないと、不良品などの原因になり、
結果的には企業様にとって大きな損失になります。
静電気がもたらす悪影響の対策方法
では、どのように対策を講じれば良いのでしょうか。
もちろん、細かく話すと、その業者様の取り扱う製品、異物の種類、作業工程などで大きく変わりますが、
本記事では一般的な対策方法をお伝えさせて頂きます。
静電気の対策方法①部屋の湿度を上げる
先程、静電気は、夏場よりも湿度が低い冬に発生しやすいと説明しました。
つまり、湿度が高い環境にすれば静電気の発生を未然に防げるという事です。
繊維工場などでは、天井のスプリンクラーから定期的に霧が噴射されるように改築する業者様も非常に多く、一定の効果は見込めます。
ただし、夏場は非常に蒸し暑く、作業者の方にとっては大きな負担となりますのでご注意ください。
静電気の対策方法②除電器をつかう
マイナスの電子の移動により発生するのが静電気だと先程説明しましたが、言い換えると、
「静電気を帯びたもの」は、プラスの電気とマイナスの電気のバランスが崩れた状態であるという事なので、
この状態を、「バランスが良い状態」つまり「電気的に中性な状態」にするのが除電器(イオナイザー)です。
ファンタイプ、圧縮エアータイプ、空間除電タイプなど、様々な除電方法がありますので、
弊社では、緊急性やご予算に応じて適切なご提案をすることが可能です。
このように、プラスの電気とマイナスの電子の個数を良い感じのバランスに戻してあげることで、静電気を除去する事ができます。
ただし、異物除去という観点から見ると、静電気を除去したのは良いが、付着しているホコリをどのように取り除くのかという問題は残っています。
静電気がもたらす悪影響の対策方法③アース線を取る
これは当たり前の話ですが、電気関係においては、「接地」という意味で、
電気設備機器あるいは電路などと地面を「電気的に接続すること」をいう役割を果たすものです。
「帯電した電気を地面に流す回路を作ってあげるもの」くらいに認識してください。
冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機などを購入した時に、このような線が付いているのを見た事はありますか。
アースは、電化製品が劣化や故障などによって電気が外に漏れてしまったり(漏電)、
製品ごとに定められている許容最高使用電圧を超えたりした時(過電圧)に、
コンセント側のアース端子を通じて余分な電気を地面へ流してくれます。
例えば、劣化した電子レンジの内部で回路の故障などが発生した場合、
電気が本来流れるべき回路とは別の場所へ漏れてしまうことがあります。(これを漏電といいます。)
電子レンジの故障を招いたり、その状態を知らずに触れた人が感電したりするおそれがあるので、
こうしたトラブルを未然に防いで被害を最小限に食いとどめる役割を担っているのがアース線です。
余分な電気を地面に流す原理を上手に利用することで、静電気が発生するのを防ぐことができます。
意外と対策されていないことが多いので、今一度ご確認ください。
静電気がもたらす悪影響の対策方法④IoT集塵機を用いて帯電量の管理を行う
そもそもの話ですが「どれくらいの帯電量になれば生産に影響を及ぼすのか」について把握する必要があると思います。
帯電量(㎸)を測定するだけなら、測定器で計測は可能ですが、
故障やメンテナンスが必要な時期などで、基準値を上回った時に、そのアラートを受け取ることはかなり困難だと言われています。
PLC制御により、信号を制御盤に送りランプ表示のみを行うか、
高額なIoTデバイスを導入して、常時監視を行うなどの方法を取る必要があります。
しかし、これらの選択は「誰かが制御盤をチェックしておかなければならない」
もしくは「複雑なIoTシステムを構築する」という、どちらかの選択を取る必要があります。
そのような複雑な事をせずに、帯電量の管理が出来るのが、「小型IoT集塵機エムジオット」の導入です。
設定は非常に簡単で、予め設定した基準値を超えた時に、集塵機側に電圧を付加する設定を行うだけで、
その電圧を検知した集塵機から、静電気量の異常を、関係者のスマートフォンやPCに通知することが出来ます。
このように、無理に複雑なIoTデバイスを導入しなくても、エムジオットのようなIoT集塵機を用いるだけで、
静電気の異常すらも、ついでに通知させてくれる機械も存在するので、
集塵機を同時に利用する設備であれば、是非エムジオット導入をご検討ください。
普通の集塵機とは違って、オリジナルの機能がたくさん搭載されており、設備の省人化に大きく貢献することができます。
フィルター目詰まり時に担当者のスマホ、PCに直接通知
集塵機は定期的なフィルター交換などのメンテナンスが必要となるため、それぞれのフィルター目詰まりを個別で管理するのは非常に面倒。
交換ランプが点灯しても運転自体はできているため、つい放置していると、故障の原因となり高額な修理費用が発生することもあります。
エムジオットは、フィルター交換時期や、その他の異常が発生した時に、
関係者のスマートフォンやPCに直接通知を送ることができるため、負担なく複数台を管理することができます。
登録名を自由に設定できるため、設備名や担当者の名前で登録しておくことで、複数台を管理する場合も、どの設備で、どのような異常が発生しているかが一目でわかります。
通知機能は、複数台のデバイスに登録する事ができ、不要になればワンプッシュで通知をOFFにすることもできるため、 部署移動時や長期休暇の際には通知を受け取らないこともでき、余計なストレスを与える心配もありません。
遠隔制御を行う場合でもPLC設定が不要
通常、集塵機を遠隔で操作するには、別途PLCの設定作業を行う必要があります。この設定が自社で行うことができない場合、集塵機の本体価格よりも高額な設定費用が発生することになります。
エムジオットは、専用のリモートコントローラー(別売)を繋げるだけで、10メートルまで離れた場所から遠隔操作を行うことができます。
エムジオットは、最上級の基本機能を追求しており、これまでにない利便性を体感いただけます。
通常の集塵機と比べて、PLC設定費用が追加で発生しないため、結果的により安価に遠隔操作を行うことができます。
加えて、スマートフォンやPCからも完全無線にて操作することができるため、
グローブボックスや生産装置の内部に設置する場合でも、試作検証段階からリモートで操作することができます。
過去の異常発生、メンテナンス履歴を自動で記録
前回フィルター交換を行ったのはいつごろか、過去に故障の履歴はないかなど、従来であれば個別の管理が求められますが、
エムジオットは異常発生記録や、メンテナンスの履歴を自動で保管し、ブラウザ上でいつでも確認することができます。
これまでは、メモ書きを機械に張り付けたり、エクセルなどの別表で管理していたストレスがなくなり、
ユーザー様は個別の管理が非常に簡単になります。
●記録可能項目
・一次フィルター交換履歴
・二次フィルター点検履歴
・排気フィルター点検履歴
・過負荷異常発生履歴
・温度異常発生履歴
・通信エラー履歴
※10回前まで確認可能
アップデート機能搭載で、購入後も新機能搭載が可能
集塵機に限った話ではなく、従来の産業機器は、新しい機能を持つシリーズが発売されて、その機能を使うのであれば、新しく買い直さなければなりません。
機械自体は問題なく稼働しているのにわざわざ新品に買い換えることが難易度が高く、ユーザー様にとってもストレスになります。
こういった理由により、メーカーは、あまり頻繁に新製品を発売してきませんでした。
エムジオットには、アップデート機能が搭載されているため、後から新機能が出てきても、バージョンをアップデートすることで、その機能を利用することが出来ます。
この機能によって、メーカーはこれまで以上にユーザー様の声を聴き、頻繁にアップデートを重ね、更なる品質を追い求めることが出来ます。
併設する設備の異常も、集塵機を経由して通知
④で説明したアップデート機能によって、開発段階では考えていなかった機能を追加したのが、こちらです。
「集塵機にトラブルが起これば通知が届くなら、集塵機を使用する設備にトラブルが起きた際も、集塵機を止める設定にすれば、設備の異常も通知できるじゃないか!!!」
という発想から生まれた新機能です。
これにより、例えばレーザー加工機、二次電池切断機、コンデンサ製造装置などと一緒にエムジオットを使うと、その既存設備もプチIoT化が出来るようになりました。
既存の設備や加工機などで集塵機を利用する際、従来では、集塵機側の外部出力信号をそれら設備の運転と連動させて「遠隔運転」を行っていました。
このような「PLC」を用いた設備の連動、操作パネルの集約が主流となっていますが、
省人化が著しく進む現代においては、それら設備を常に人力で管理することが難しくなり、設備全体をIoT化させる方法を検討していく必要性が増しています。
新設設備においては、既製のIoTデバイスを活用することである程度の解決は可能ですが、
既存設備においては、高額な予算に加えて、作画ソフトやネットワークに関する一定以上の専門知識が作業者に求められます。
加えて、サブスクリプション形式の製品も多く、思う様に設備のDX化が進まないという声をよく耳にします。
買い切り型や、作画知識が不要なソフトも徐々に普及していますが、それでも幅広くは普及していません。
また、PCの画面上に常に稼働状況を表示させることは比較的簡単ですが、
あくまでモニターを監視する人がいて成立するため、異常時に「通知」させるには、学習難易度やコストパフォーマンスも含めて、ハードルが高いのが実態です。
こんな高い壁を、エムジオットなら一発でクリアできてしまうのです。
さいごに
以上が「静電気と粉塵の関係性」でした。いかがでしょうか。
安全管理や、異物除去の観点から見た静電気は非常に厄介で、
原理や対策方法について一程の知識があった方が好ましいという事をお分かりいただけたと思います。
最後にお話した、IoT集塵機を用いて静電気量を管理するという方法は非常に珍しく、
サブスクのような月額コストもかからないので非常にオススメです。
設備付近で集塵機を購入する必要があるなら、是非IoT集塵機エムジオットをご検討ください。
ありがとうございました。